|
|
|
過活動膀胱 |
|
|
1.どんな病気ですか?
日本排尿機能学会によると、日本に過活動膀胱の患者が1000万人以上いると推定されています。40歳以上の12%、7−8人に1人という高率で発生し、糖尿病や高血圧症の患者数と同じくらいです。男女ともに年齢とともに病気になる確率は高くなります。
2. どんな症状ですか?
「急にトイレに行きたくなり我慢が難しい(尿意切迫感)」
「トイレの回数が多い(頻尿)」
「急にトイレに行きたくなり我慢できずに漏らす(切迫性尿失禁)」
が代表的な症状です。
ご自分で、一度、問診表を記入してみてください(表1)。質問Bの点数が2点以上あり、かつ合計点数が3点以上の方は過活動膀胱の可能性があります。
3.どんなメカニズムですか?
普通、健康な人は400〜500mlの尿をためることができますが、過活動膀胱では、それほど尿がたまっていなくても、膀胱が収縮し尿意をもよおし我慢できなくなります。原因として脳梗塞などの脳血管疾患、脊髄疾患、末梢神経障害、前立腺肥大症、加齢、骨盤底筋の脆弱化が考えられています。最近の臨床研究によれば、高血圧症、糖尿病、高脂血症などのメタボリック症候群のリスク因子の数が多いほど、過活動膀胱の症状の程度も強いと報告されています。
4.どんな検査がありますか?
過活動膀胱の検査は、まず症状についてお尋ねする問診が中心です。代表的な症状である尿意切迫感、頻尿、切迫性尿失禁の程度についてお尋ねします。
また、どのような排尿であるかを確認するため、排尿の記録(排尿時刻や1回排尿量など)をつけてもらうこともあります。
さらに、過活動膀胱と同じような症状を来たすことのある別の病気を見分けるため、尿検査や超音波検査を必要に応じて行います。生命に影響のある病気が疑われない限り、難しい検査はありません。
5.どんな治療法がありますか?
まず、普段の生活習慣によって排尿症状が悪化していると判断される場合は生活習慣の改善をお願いすることがあります。さらに薬物療法が必要の場合は内服薬が中心です。膀胱の神経に働きかけ収縮を抑える抗コリン薬が主な内服薬とされます。現在ではさまざまな薬剤が開発され、より安全で効果の高い薬剤が使用できるようになりました。さらに、抗コリン薬とは異なる作用機序のβ3アドレナリン受容体作動薬が開発され、その有効性が確認されています。また、2017年には仙骨神経刺激療法が、2020年にはボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法が保険適応となり 、過活動膀胱の治療の選択肢が広がっています。男性の前立腺肥大症に合併した過活動膀胱の場合は前立腺肥大症に対する治療(内服)が必要となります。 |
|
|
|
2024年9月更新 |
|