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小児の泌尿器科疾患 |
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小児の泌尿器科疾患について
小児泌尿器科という言葉は一般にはあまりなじみのないものですが、子供の尿路・生殖器の疾患(病気)を扱う診療科のことで, 腎臓(じんぞう),膀胱(ぼうこう)、尿管(にょうかん-腎臓から膀胱へ尿を流すくだ)、尿道(にょうどう-膀胱から体外へ尿を流すくだ)、陰茎や精巣(睾丸)など外陰部の疾患を対象にしています。
大人と共通するものもありますが、生まれながらの先天的な異常(形や代謝の異常)が多いのが特徴で、決して少なくありません。
単純に体、臓器が小さいというだけでなく、疾患の性質の違い、特殊な検査や方法、成長とともに自然に治癒するものがあること、逆に治療の遅れが対象臓器の機能低下や身体成長までも影響することがあり、大人と違った判断と注意深い経過観察や治療が必要になります。 このような背景のもとに、小児を専門にする医師(小児泌尿器科医)が必要になる訳です。
小児泌尿器科医は小児科医、小児外科医と協力して診断・治療にあたりますが、近年妊娠中の母親が受ける胎児超音波検査によって、出生前から多くの腎・尿路疾患がみつかりますので、産科医との連係もきわめて重要になっています。
2.小児泌尿器科が扱う主な疾患は
1)包茎:包皮の穴が小さく、尿線が細い。
細菌感染をおこし 包皮(皮膚)が赤く腫れたり排尿時に痛みがある。
2) 陰嚢水瘤:体液がたまって陰嚢が大きくなる。
3)停留精巣:精巣(睾丸)は胎児のおなかの中にあって、
生まれるまでには陰嚢の中に降りてくるが、途中で止まって陰嚢に降りていない。
4)精巣捻転:陰嚢部を急に痛がり、赤くはれている。(緊急手術が必要)
5)精巣上体炎:陰嚢部が赤くはれて痛がる。高い熱がでて排尿痛を訴えることもある。
6)膀胱尿管逆流:膀胱の尿が腎臓に逆流する.高熱をともなう腎盂腎炎で発見されることが
多い。腎機能が徐々に悪くなる。
7)水腎症:尿が膀胱へスムーズに流れない。腎臓がはれ腎機能が悪くなる。
8)尿路感染症:尿の混濁や高熱をみる。こどもでは感染が直り難い。
原因が隠れていることが多く、精査が必要。
9)尿道下裂:尿道が亀頭の先端まで形成されず、おしっこの出口が陰茎下方(腹側)の
途中に開いている。
10)夜尿症:5歳を過ぎても週に2−3回以上の頻度で、少なくとも3ヶ月以上連続して
夜間睡眠中におもらしをする。
11)性分化疾患:卵巣または精巣や子宮などの内性器、あるいは外陰部が典型的な
男児または女児の形でない
12)その他、多種多様の先天性疾患、血尿、蛋白尿、精索静脈瘤などがある。
3.小児泌尿器科学会の沿革と現状
1972年、小児泌尿器科学会が設立され、診断・治療のガイドライン作成、専門医を養成すべく種々の活動が行われています。
現在の学会会員数は約800名で、小児泌尿器科医(64%)、小児外科医(23%)、小児科医(7%)、看護師そのた領域(6%)で、毎年、学術大会が開催されています。
小児泌尿器科学会に関する情報はインターネット上のホームページで閲覧することができます。
九州地区では小児泌尿器科診療のレベル向上を目的に平成16年から九州小児泌尿器研究会を発足させ、現在までに16回の研究会(年1回)を開催しています。各地区の大学病院、こども病院、小児泌尿器疾患に関心をもっておられる地域の主たる病院の泌尿器科医、小児科医が集まって症例検討や小児泌尿器科疾患の研究発表を行っています。
4.受診・相談の仕方
おしっこの色がおかしい、学校検尿で異常が指摘された、排尿時の痛みを訴える、尿の出方がおかしい、原因不明の発熱がある、外性器・陰部の形がおかしい等の症状や異常がある時は、まずは近くの泌尿器科、小児科を受診して小児泌尿器専門医に相談する必要があるかどうか判断してもらってください。
こどもの尿路疾患は成長とともに良くなるものもありますが、症状がなく気付かないうちに腎機能障害など取りかえしのつかない状態になることも少なくありません。
また、手術しか治療法がないもの、幼少時に手術しておかねばならないものもあります。
もちろん小児泌尿器科専門医まで受診しなくても解決するものもあります。
いずれにしても早めに相談しておくことが大事です。 |
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2024年9月更新 |
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